タイル因数分解とは |
X 2 と X と 1 を3つのタイルで表現すると、次のように表現できます。
X 2 は1辺がXの大きな正方形
Xは縦X横1(縦1横X)の長方形
1は1辺1の小さな正方形
※ 小さな正方形をX個集めると長方形になり、長方形を X個集めると大きな正方形になる。 |
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下図のように、タイル操作することによって長方形に変形することがでます。このときの長方形の面積は、(X+1)(X+1)で表されます。つまり、X
2 +2X+1 →(X+1) 2 と変形(因数分解)できたことになります。このタイルを使って因数分解するということは、「3種類のばらばらなタイルを合わせて長方形になるように操作することであり、その因数は縦と横に現れてくる」と言えます。 |
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いくつかの問題を解く |
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X 2 +2X → X(X+2) |
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X 2 +3X+2 → (X+1)(X+2) |
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X 2 +5X+6 → (X+2)(X+3) |
このような問題になると、長方形にする方法がいくつか出てくるのでおもしろい。すべての場合を見つけて、すべて正しいことを確認し合いましょう。 |
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2X 2 +3X+1 → (2X+1)(X+1) |
実際にタイルを作って操作をするとき、小さい正方形と大きい正方形の1辺の割合によっておかしい場合が出てきます。たとえば、大きい正方形の1辺が小さい正方形の1辺の3倍のタイルを作って、X
2 +6X+8の問題を操作させると、次のような場合が出てくるので注意が必要です。 |
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X 2 +6X+8
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係数が負の場合 |
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X 2 -2X+1 → (X-1)(X-1) |
では、X 2 +2X-3 の問題はどうでしよう。上の問題と同様に考えるのであれば、-3は1のタイルを3枚引くと考えればよいことになります。しかし、これではいっこうに解決がつきません |
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X 2 +2X-3 長方形にならない
このような場合は、このタイル因数分解を負の整数まで可能にするためのちょっとしたアイデアが必要になります。そのアイデアというのが「隠れ板」の考え方です。 |
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X と -X で 0 になる。 1 と -1 で 0 になる
そうすると、X 2 +2X-3 はX 2 +2X-3
↓
X 2 +3X-X-3 → (X-1)(X+3)
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X2+pX+qのパターン分け |
式のパターンは、p,qが正か負かによって次の4つの場合が考えられます。操作の仕方などの特徴を整理できるとよいでしょう。 |
① p>0,q>0の場合 |
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X2 +4X+3 → (X+1)(X+3) |
② p<0,q>0の場合 |
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X2 -3X+2 → (X-1)(X-2)
ある量を加え、次に同じ量だけ取り去るならば最初と同じ量である。 |
③ p>0,q<0の場合 |
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X 2 +X-2 (X 2 +2X-X―2)
→ (X-1)(X+2) |
④ p>0,q>0の場合 |
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X 2 -X-2(X 2 -2X+X-2)
→ X+1)(X-2) |
X 2 +pX+q =(X+a)(X+b)において、p,q,a,bは整数です。このとき、どんなp,qに対してもa,bが存在するとは限りません。このことをいろいろな問題を作って確認してみましょう。 |
二次方程式を解く |
タイル因数分解の考え方が理解できたならば、二次方程式の解を求めることもできます。(当然自然数の範囲ですが)たとえば、X 2 +4X+4=64ならば
この正方形での形がすめば、長方形も同様に考えて解を求めることができそうですが、Xの値が負になる場合は新たなアイデアがないと解決できません。したがって、因数分解学習でとどめておく方がよいでしょう。
X 2 +3X+2=0 → (X+1)(X+2)=0
→ (X+3)=0 又は(X+2)=0 |
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おわりに |
正方形のタイルの代わりに正三角形や平行四辺形のタイルでも同じように説明できるのではないだろうか。正方形のタイルの代わりに立方体を使ったら3次式の因数分解ができるのではないだろうか。いろいろ発展的に考えていけるとおもしろい。 |